ミドリムシで有名なユーグレナ社とは
どうしてミドリムシの会社を始めたのか
「株式会社ユーグレナ」創業者であり社長である出雲氏は、東京大学農学部在学中の1998年にバングラデシュを訪れ、「貧困」を目の当りに。
また、農学部の学友が、研究テーマであるミドリムシ(ユーグレナ)を紹介しました。出雲氏もミドリムシが「高い栄養素」「すぐれた二酸化炭素固定能力」を持っていることに着目。「この生物を上手く活用できないか、世界の食糧問題や環境問題を解決できないだろうか?」 今のユーグレナ社の源となる考えがここで生まれたようです。
ミドリムシの栄養価に着目
ユーグレナは大変高い栄養価を持ち、それだけでも人間が生活できるとする研究もあるほど。1970年代には宇宙食としてNASAで研究された時期も有りました。
野菜とはまた異なる形態ですが、その栄養価は緑黄色野菜をしのぎ、かつDHAやEPAなど「魚」で摂れるタイプの栄養素もたっぷり入っています。また細胞壁を持たないため栄養の消化率もたいへん良いものです。
とはいえ現実的にはどう培養するか、どんな形態で摂ってもらうか。幾つか有った課題をクリアしたのがユーグレナ社といえます。
ミドリムシの持つ二酸化炭素固定能力
信じられないかもしれませんが、ユーグレナはあの「熱帯雨林」にも勝る「二酸化炭素固定能力」を持ちます。たとえば砂漠や遊閑地にユーグレナの大規模な培地を作れば、極端な話利用をせず培養するだけでも、世界の環境問題が改善する可能性を秘めているのです。都市部の屋上や、休閑状態にある工業地帯等を活用する手段も考えられます。
燃料としての活用にも着目
サトウキビやトウモロコシ等穀物を利用したバイオ燃料は中南米・北米でメジャーです。ユーグレナ社では、食用とは別に「油」を作るユーグレナを見極め、その培養の研究も進めています。
地球環境をほんとうの意味で大切に
「穀物」の場合は、気候や土壌によって生産できる土地が限られますし、年に一度~多くても数回の収穫が基本。農家・従事者の方の経験・コツなども必要となります。
出雲氏も指摘していますが、上記のバイオ燃料生産の現状を見ると、豊富な天然林を大規模伐採して穀物栽培を行っている地域も一部あります。長期的に見ると大きな環境破壊。ユーグレナ社はこうした方向を目指していません。
ユーグレナなら専用のプールと同社の培養技術を用いることで、いわば「グリーン工場」のような感覚で世界の大半の土地で培養できるのです。
大量培養
改めてユーグレナの特性に着目し、研究を始め会社を作った、この点だけでも高い評価ができます。
しかし「大量培養」の技術を成功させている点が最大のポイント。東京大学や大阪府立大学、近畿大学等の研究室、および提携企業との協力で、創業年である2005年にこれを実現。上に書いたようなユーグレナのメリットも、ある程度「まとまった培養」があってこそ活きます。大きなコストをかけて年に僅かな量だけが取れても、世界規模の話には発展しません。
ユーグレナは水田や身近な淡水でも少数生息していますが、まとまった数で生息している姿は見たことがないはず。小さくか弱い生き物であるため、独自の培養技術を活かさないと大量には増やせないのです。
産学連携、東京大学発
ユーグレナ社は東京大学本郷キャンパス内に本社を置いています。研究拠点は同大学の設けるアントレプレナープラザ内。学生の編み出した良い研究やアイディアに対し、企業も協力する、他の大学研究室も協力する、という流れを作っています。
米国などでは盛んですが日本ではまだまだの部分であり、産学連携・「大学と起業」といった視点からも注目できます。
食品として
現在、国内向けとしては「ユーグレナ・ファームの緑汁」のほか、「ユーグレナ・プラス」「ユーグレナカンパン」、「石垣みどり塩」、「石垣うまみ塩」、「ユーグレナ・バジルペースト」、「石垣みどり米」、「八穀みどり米」を販売。
この他にもシトロエンを使ったおしゃれな移動販売車「ユーグレナ・ファーム号」でドリンク等を移動販売、都内カフェにユーグレナメニューを展開するなどしています。
石垣島と「ユーグレナ」
現在、石垣島で大量栽培されているユーグレナ。温暖な石垣島の気候、それに質の良い地下水なども考慮して、まずはここを生産拠点にしています。
出雲社長および協力企業の構想からすれば、現在の施設規模や生産量、展開はユーグレナ・ワールドのほんの入り口といったところ。あおじろうも、一緒に夢を追いかけるような気分で試してみています。
ただ、青汁や野菜系健康食品としてみた場合、ユーグレナ社の商品が最高といえるのか?そこはまた別の話です。何年かの時間を経てユーザーの評価が定まってくることでしょう。